十六夜の厭世的雑録

人生をそんな深刻に考えるな・・・永久に続くものじゃないんだから。

古本屋

K駅の近くに小さな古本屋があった。
店の中は、懐かしい古本の匂いがした。
ビデオやCDなど置いてあるチェーン店の古本屋には無い匂いである。


匂いを楽しみながら本を探す時間は、いつもよりゆっくりと感じる。
おもしろそうな本が何冊かあったが、埴谷雄高と北杜夫の対談集が特に興味を惹いたので買う。
ダイアローグと言うより、やはり対話のほうがぴったりする本である。


老人性痴呆から始まり、ニーチェ、辻邦生、ドストエフスキー・・・・・
当然「死霊」が話題になる。
北杜夫が「死霊」のことを、「一種の形而上学的な童話」と言っていたが、これはおもしろい。
私など読解力がないせいか「死霊」にはとても歯が立たなかった。


これで秋の夜長のたのしみが増えた。
こういう本は、本の中に出てくる本が読みたくなってその本を探すことになる。
本が本を呼んでしまうのである。
これが鼠算的に広がるので、一種の無限連鎖のようになってしまう。


しかし、なんでこんな本を売っちゃうのかなあ、と思わせる本が古本屋には時々ある。


若い頃、先輩と二人で両手に持てるだけの本を持って古本屋に行き、それを売ったお金でやっとお昼を食べたことを思い出した。
あの時、二人で食べたカツカレーの味は、今でも時々思い出す。