十六夜の厭世的雑録

人生をそんな深刻に考えるな・・・永久に続くものじゃないんだから。

極楽の余り風

「梅雨明け十日」と言うけれど、今年はこの時期が早まったようだ。
外に出れば、体温を超えるような空気がまとわりつく。


まだエアコンなどなく、扇風機もめずらしかった時代、夕方になるとうちわ片手に
路地の縁台に人々が集まってきた。
「今年は暑いねえ」
「これじゃスイカも甘くなるんじゃないか」


ときどき涼しい風が路地を吹き抜ける。
「あ~あ、いい風だった。極楽の余り風って言うけど、ほんとだね」
子どもの持った線香花火が、パチパチと小さく爆ぜる。


こんな悠長な時代が日本にもあったのだ。
今はクーラーの効いた部屋に閉じこもり、ひたすら暑さの過ぎるのを待つ。


昔がよかったなどと言うつもりはないが、少なくても今より開放的であった。
民俗学者の宮本常一の本など読むと、性に対しても奔放だったことが伺える。
そして、今より時がゆっくり流れていて、季節の移ろいもたおやかであった。


極楽の余り風が今一番欲しいのは、西日本豪雨で避難所生活を余儀なくされている
人たちだろうな。


ホットリップス