十六夜の厭世的雑録

人生をそんな深刻に考えるな・・・永久に続くものじゃないんだから。

ワイルの恋愛法則

アンドルー・ワイルの本を読んでいたら、J+P=0「ワイルの恋愛法則」というのが出てきた。
Jとはジョイ(Joy:喜び)のJで、Pとはペイン(Pain:苦しみ)のPである。
ワイルは、恋愛の初期の喜びと、その終わりの苦しみの和はつねにゼロになると書いている。


これは恋愛に限らず、人生においてもあてはまるだろう。
振り返れば、楽しかったことも苦しかったことも半々になって、人生の帳尻が合うのかもしれない。


いいことばかりつづいているときは、浮かれて高慢になってはいけない。
苦しみの渦中にあるときは、いつか必ず楽しい日が来ることを忘れてはいけない。


ここまで書いて、ほんとうにそうなのだろうかと思ってしまった。


私がいつも傍らに置いて読み返す本に、フランクルの「夜と霧」と「アンネの日記」がある。
どちらも訳者の違う本を二冊ずつ置いてある。


医師であったフランクルは、ユダヤ人であるがゆえにアウシュヴィッツに送られ、両親、妻、子どもたちのすべてを亡くしてしまい、彼だけ生き残った。


アンネもアムステルダムの「隠れ家」から連行され、ベルゼン強制収容所で亡くなってしまう。
生き残ったのは父親のオットー・フランクだけだ。


果たしてヴィクトール・E・フランクルとアンネ・フランクに、このJ+P=0の法則はあてはまるのか。
客観的にみると、限りなくPの方が大きいように思われる。


だが、これは本人が決めることなのだろう。
幸福そうに見える人でも、自分は不幸だと思っている人もいるし、またその逆の人もいるのだ。


私自身、ほんとうに生きるのが嫌になったことが何度かあった。
その度にフランクルのことを考え、またアンネの身の上を思った。
そして何とか生きてきた。


喜びと苦しみの和がゼロに思える人は、それだけでじゅうぶん幸せなのだ。


クレオメ