十六夜の厭世的雑録

人生をそんな深刻に考えるな・・・永久に続くものじゃないんだから。

帰らざる夏

暑い!猛烈な暑さだ。
高温注意情報が出ている。


夏の空を見ると、子どものころ故郷の川で魚釣りをしたことを思い出す。
従兄たちと手づくりの竿をもってK川に行った。


みんなそれぞれ小さな雑魚を数匹釣った。
暫くして、Kちゃんが20センチ以上ある魚を釣り、満面の笑みでグワッっと言った。
Kちゃんは、聾唖者であった。


そのあと魚を持ち帰った記憶がないから、たぶん川に逃がしたのだろう。
記憶の底に焼きついているのは、青い空に浮かんだ雲と、心地よい川風と、
Kちゃんの嬉しそうなグワッグワッという声だけだ。


大人になり故郷を離れ、結婚していろいろなことがあった。
様々な人間関係のトラブルがあり、軋轢の末に兄弟親戚とは絶縁状態になった。


一緒に釣りをしたKちゃんやHちゃんは、まだ生きているのだろうか。
少なくても、もうこの世では会うことはないであろう。
夏の空を見ていると、あの時の川の流れの気持ちよい冷たさを思い出す。


「年とれば故郷こひしいつくつくぼうし」 種田山頭火


ニゲラ(クロタネソウ)