十六夜の厭世的雑録

人生をそんな深刻に考えるな・・・永久に続くものじゃないんだから。

笑えなかった落語

昔、ある有名な落語家の寄席に行ったことがある。
噺の中で、こんな場面があった。


「おう、この前火事があったんだってな」
「そうよ、大変だったんだぜ」


「で、火元はどこだったんだい」
「あそこの病院だよ。ほら精神と名のつく病院があるだろう」


「そうか、あのでかい病院か」
「そうよ、患者か逃げて来て大騒ぎだったんだぜ」


「そりゃあ、大変だったな」
「おれは、患者に訊いたんだ。大変だったねって。
 そしたら『ええ、もう気も狂わんばかりでした』だってよ」


その時、客席からどっと笑い声が起こった。


私は、笑えなかった。
唇を噛んで、なんともいえない感情を呑み込んだ。


それ以来、テレビやラジオでその落語家が出るとスイッチを切るようになった。


ヘビウリ