十六夜の厭世的雑録

人生をそんな深刻に考えるな・・・永久に続くものじゃないんだから。

ひるのいこい

NHKのラジオに「ひるのいこい」という番組がある。
私が子どもの頃からつづいている大変息の長い番組である。


古関裕而のテーマ音楽が流れると、一気に50数年前にタイムスリップしてしまう。
あの頃は、たとえ物質的に貧しくても、時間はたおやかに流れていた。
あのメロディが流れると、必ずメザシを焼く匂いが甦ってくる。


前後の記憶はないのだが、私は叔母の家でお昼を食べていた。
「こんなものしかなくてねえ」と言いながら、叔母は少し恥ずかしそうに焼いたメザシを出してくれた。
遠くで川の流れる音がかすかに聞こえた。


まもなく叔母は40代の若さで逝ってしまった。
気がつけば私は叔母の亡くなった歳をはるかに超えていた。


「人生は邂逅である」と言った作家がいた。
人は一生に何人の人と出会うのだろうか。


そもそも出会いとは何なのだろう。
仕事では沢山の人と知り合った。
しかし、ほとんどが記憶の彼方に消えてしまった。
その一方で、ほんの数回会っただけでも忘れられない人もいる。
精神的に何かを共有したり、心の琴線に触れた人はいつまでも消え去ることはない。


「ひるのいこい」のメロディを聞く度に、過ぎ去った日々に出会った人の顔が彷彿と現れてくるのである。


ムラサキツユクサ