十六夜の厭世的雑録

人生をそんな深刻に考えるな・・・永久に続くものじゃないんだから。

立ち尽くす

もう十数年前のことだが、妻と星野富弘さんの絵を観に行ったことがある。
星野さんは、教師になって二ヶ月後に不慮の事故で首から下の自由を失う。
その後、口で文字を書く練習をし、絵を描くようになった。


私は、「ぺんぺん草」の詩画の前で、動けなくなってしまった。
「愛、深き淵より」など数冊の本を読んで、星野さんの苦しみや葛藤を垣間見ていたので、この作品を観た時はほんとうに心が震えた。


「ぺんぺん草」は、比較的初期の詩画で、こんな言葉が添えられている。


神様がたった一度だけ
この腕を動かして下さるとしたら
母の肩をたたかせてもらおう
風に揺れる
ぺんぺん草の実を見ていたら
そんな日が本当に
来るような気がした


富弘美術館の屋上に出ると、プランターのぺんぺん草が揺れ、草木湖を渡って来る風が気持ちいい。
妻の目に、うっすらと涙が滲んでいた。


ハンゲショウ