十六夜の厭世的雑録

人生をそんな深刻に考えるな・・・永久に続くものじゃないんだから。

みずかがみ

遠くから藁を焼くような懐かしい匂いが流れてきた。
もうすぐ日が沈む。


辺りはすでに薄暗くなってきた。
私はジャケットの襟を立て、小さな公園に向かった。


暮れなずんだ空に、オリオンの三つ星が見えた。


「オリオンのなかでは、リゲルが一番好きだな」
「白いリゲルと赤いベテルギウスは対照的よね」
「我々が地上からいなくなっても、オリオンは輝いているんだろうね」


あなたは今でもどこかで、オリオンを見ているのだろうか。


夜目にもわかるように、公園の空気はしんと澄んできた。
思い出も凍えはじめたようだ。


公園の池の水面は、鏡のように静まり返っていた。
水面に外灯の灯りが映っている。


水鏡に映った外灯のなかに、あなたの面影が浮かんで、フッと消えた。