十六夜の厭世的雑録

人生をそんな深刻に考えるな・・・永久に続くものじゃないんだから。

夏の朝

子どものころは、なぜあんなに朝早く起きられたのだろう。
夏休みになると、朝が来るのが待ちきれなかった。


夜が明けると、友達と雑木林にカブトムシを捕りに行った。
クヌギの木には、必ず昆虫が樹液を吸いにきていた。


その中から、カブトムシとクワガタを選んで虫かごに入れた。
夏のあいだじゅう、雑木林ではいくらでもカブトムシやクワガタが捕れた。
そして、一日がほんとうに早かった。


街の近くから雑木林が消えたので仕方がない面もあるのだが、
デパートでカブトムシを売っているのを見ると、今の子どもは可哀想だなと思う。
朝の清々しい空気も、木に集まった昆虫を見つける時のドキドキ感も知らないのだ。
もし、全てが金で済むと勘違いしたまま育ったら、憐れでもあり空恐ろしくもある。


それにしても、なぜあんなに朝早くすっきり起きられたのだろう。
今は眠剤のちからを借りて眠り、朝は目が覚めてもすぐには起きられない。


ボーっとした頭でやっと起き上がり。怠惰な一日を過ごす。
子どものころに味わった朝の爽やかさは、どこへ行ってしまったのだろう。


「年寄りの一日は長い、されど一年は短い」
こうして、私の一生は一炊の夢の如く過ぎ去ってしまうのだろう。


ツユクサ