十六夜の厭世的雑録

人生をそんな深刻に考えるな・・・永久に続くものじゃないんだから。

白い月

まだ青さの残っている暮れあいの空に、白い月がでている。
さらさらとした葉ずれの音を残し、風が竹林を通り過ぎていった。


ピエロがひとり月を見ていた。
おどけた化粧の中の瞳に、哀感をたたえて・・・


そのピエロを天使が見ていた。


「ねえ、ピエロさん、どうしたの?そんなに哀しそうな眼をして」
「ああ、月が真っ白だからさ」


「月が白いと哀しくなるの?」
「そうだよ。月が白いと楽しかった昔を思い出すんだ」


「ピエロさん、いまは楽しくないの?」
「ああ、いまはひとりぼっちだ」


「あっ、月がだんだん黄色くなってきたよ。もう哀しくない?」
「ああ、大丈夫だ。ありがとう」


そう言うとピエロは、すっかり暗くなった道をテント小屋に戻っていった。
背を少しまるくして、うつむき加減で、なにか考えごとをしているように見えた。


「やっぱりピエロさんの哀しみは、月の色が変わっても消えないんだ」と天使は思った。


また、風が竹の葉ずれの音をたてた。


マユミの実