十六夜の厭世的雑録

人生をそんな深刻に考えるな・・・永久に続くものじゃないんだから。

行きずりの街

行きずりの街を独り歩けば
面影色の風が吹く


ああ デジャヴ・・・
不思議な安堵感


坂の途中の喫茶店
断ち切ったはずの想い出が コーヒーと一緒に揺らめいて
答えの出ない「何故?」を私は繰り返す


古びた柱時計が のんびり刻を告げる
ボーン ボーン ボーン


そのあまりの鷹揚さに
時は進んでいるのか戻っているのか
わからなくなった


ここはいったいどこなのだろう


行きずりの街の片隅で
私はぼんやり外を見る


窓から見えるちいさな夕焼け
黄金色の海


水平線に向かってゆっくり船が遠ざかって行く


そして 私の中に
現実感のない静寂が取り残された


ダンギク